活動写真館
ちょうど、宮沢賢治の“セロ弾きのゴーシュ”の職場(活動写真館)はこういう風だったんでしょうね。
映画の弁士がいて、音楽家達が映画に合わせて演奏する、、、。
かつて、チャップリンのモダン・タイムスなどの幾つかの映画をオーケストラの中で生演奏した事があります。
しかしながら、僕らが現在観ている彼の作品で有名な音楽すべて、1970年代に彼が録音しなおしたものだそうです。
そりゃそうですね、昔は無声映画だったわけですから。
それで、色々調べたところ、その無声映画時代、チャップリンの指定する楽曲の本が一冊、ある映画に付随してきていて、活動写真屋に居る音楽家、特に規模が小さければこんなに人数はいなくて、ピアノ一人というのもあったそうで、「この曲集のなかから、『適時』弾いてくれ」というような指示だったそうです!
その本、僕は観ました。
ということはです、同じ映画でも、映画館が違えば、演奏者が違うし、チョイスする曲も(タイミングだってそんなに厳密だったとは思えませんからかなり即興的だったと思われます。)違うし、もしかしたら同じ映画館でも二度目の上演の時に、そのピアニストが前回とは違う曲を弾いたかも知れない。
音楽が違えば映画の印象は180度変わりますね。
だから映画もその度、その度生もので、映像は変わらなくとも、音楽によって姿を変えていた時代があるのですね。
演奏家としても、そして、現在作曲家としての私の立場からすると、ストーリーに音楽を付けることを主にやっているので、大変興味があります。
今から100年くらい前でしょうか(今年宝塚歌劇団は創立100周年だそうですから)、亡命していたロシア系のピアニストが神戸の映画館で弾いていたそうですが、彼の演奏がとても評判が良く、それを宝塚の創立者が気に入って、後に宝塚の音楽の先生になったという話も聞きました。(裏は取ってませんが、そういうレクチャーを聞いたことがあります)
この模型は、横浜にある、神奈川県立歴史博物館
http://photozou.jp/photo/show/1934405/178196634
にありました。
この写真
http://photozou.jp/photo/show/1934405/209040718
同様、思いっきり古めかしくレタッチしました(爆)
アルバム: Diorama
お気に入り (10)
10人がお気に入りに入れています
コメント (4)
-
すてきな、お話ありがとうございます。
映画が演劇やコンサートのように
一期一会だった時代があったのですね。
(´ー`)2014年8月20日 15:54 cama (8)
-
そう思うとこの時代の映画その時その時オンリィ−ワンで贅沢ですね。
2014年8月21日 03:12 mamii(暫くお休みします<m(__)m> (13)
-
camaさん、そうですね、確かに3Dやジョン・ウィリアムスの音楽は無かった時代ですが、そういう意味じゃ、音楽家のやりかた一つで映画の感動の深さが変わったというのは、やりがいがありそうな仕事です。
偽ベートーヴェン事件が今年の頭にあり、そのゴーストライターだと告白した方がいらっしゃいましたが(実は知り合いなんです(爆))、かれも無声映画の前で演奏する事もしていますね。2014年8月21日 08:43 白石准 (40)
-
mamiiさん、その通り、オンリー・ワンでしたね。
でもトーキーになって、どれだけの活動写真館に勤めていた音楽家が失業したかと思うと、同業者として、悲哀を感じます。
ミュージカルの世界も、昔から地方では録音で上演することも多かったですが、東京でも生演奏でなく、録音を採用する劇団が出来、知り合いが沢山仕事を失いました。
生でやってこそなんだけどなあ、、、。2014年8月21日 09:18 白石准 (40)
コメントするにはログインが必要です。フォト蔵に会員登録(無料)するとコメントできます。